くらげなすただよへるときに(古事記 天地初発)

日本最古の歴史書である古事記(約1300年前に編纂)の冒頭にある記述で、「久羅下那州多陀用弊流くらげなすただよえる時」と表記されている。
この表現は、古事記において、四番目の神である宇摩志阿斯訶備比古遅神うましあしかびひこじのかみ誕生について書かれたもの。

以下は古事記の「天地初発てんちしょはつ」の時の記述。
天地初発とは、天地が始まった時のこと。
古事記は、天地が初めて現れた「天地初発てんちしょはつ」から物語が始まり、
この世界がどのようにして始まり、最初の神々がどのようにして現れたのかが描かれている。

古事記
真福寺収蔵の『古事記』(国宝)信瑜の弟子の賢瑜による写本

天地初発の訓読文

天地あめつちはじめておこりしときに、高天原たかあまのはらかみは、天之御中主神あめのみなかぬしのかみ。[訓高下天云阿麻。下效此]
つぎ高御産巣日神たかみむすひのかみ。次に神産巣日神かむむすひのかみ三柱みはしらかみは、なみひとりがみして、かくしき。
次に国稚くにわかうかべるあぶらのごとくして、久羅下那州多陀用弊流くらげなすただよへる之時とき、[流字以上十字以音。]葦牙あしかびごとがるものりてる神の名は、ぢのかみ[此神名以音。]
次に天之常立神あめのとこたちのかみ。[訓常云登許、訓立云多知。]
此の二柱の神も、並独神と成り坐して、かくしき。
かみくだり五柱いつはしらの神は、別天神ことあまつかみぞ。

訳:
天地の活動が始まった時に、高天原に出現した神の名は、天の御中主神。
次に高御産巣日神。次に神産巣日神。この三柱の神は、いずれも性別の無い神として出現して、身体をお隠しになった。
次に、国がまだ未熟で浮かんでいる肉脂のような状態で、クラゲのように漂っている時に、葦の芽のように芽吹く物から出現した神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遅神。
次に天の常立神。
この二柱の神も性別の無い神として出現して、身体をお隠しになった。
以上の五柱の神は、特別な天神である。

天地初発の後、たくさんの神々が現れる。
古事記では、神話と歴史が描かれており、神話と歴史を明確に区別することが難しい。

関連用語:くらげなすただよへるときに(古事記 天地初発)