クラゲ

クラゲは自由遊泳性の海産動物であり、実組織を持つ動物の最も原始的なグループである刺胞しほう動物に属している。サンゴやイソギンチャクの仲間である。
化石が発見されているだけでも5億年、学説では10億年前からほとんど姿を変えずに地球上に存在しているとも言われている。

クラゲの体は、ゼラチン質でやわらかく、体の約95%が水分でできている。
脳や心臓、血管はない。肺もエラもない。
生殖巣はあり、オスには精子を作る精巣が、メスには卵を作る卵巣がある。
(無性生殖と有性生殖を行う)

傘のような形をしている種が多く、頭のように見える大きな傘の下の中心部に口がある。
傘の下に「口腕こうわん」とよばれる腕のような触手が何本かぶら下がっている。
口はその腕の付け根の真ん中にある。
傘からも長い触手が垂れており、この触手と口腕を使って触れた獲物を刺して捕まえる。
そして、捕らえた獲物をゆっくりと口に運ぶ。

クラゲの食事のメインはプランクトンだそうですが、エビなど自分のところに流れてきたものはなんでも食べるそう。
クラゲは草食ではなく、動物質のものを食べるのですね。

クラゲがどうやって食べ物を食べるのか観察するとおもしろいです。
水の中を漂っている姿も飽きませんが、食事風景も飽きません。

花びらのように見えるところが胃で、その下に伸びている薄くヒラヒラしたものが口腕。
傘から伸びている糸のようなものが触手で、傘には眼点とよばれる光を感じる点がある。

例えばミズクラゲの傘には花びらのような模様があります。
それが4枚のものが通常のようですが、水族館で観察していると花びらが5枚、6枚のものもいて、見つけるとなんだか貴重なクラゲを発見したような気がしてラッキーな気分になります。

この花びらに見えるところって何なのでしょう?
実はこれはただの模様ではなくて、ミズクラゲの「胃(胃腔)」なのです。
食事の風景を見ていると、口腕で捕らえたエサをその根元の口に運ぶとだんだんこの花びら模様の色がエサの色に変わっって行きます。
口から胃にエサがそのまま運ばれるわけですね。

脳も心臓もないクラゲは胃で食べたものを消化できるのかな?と疑問でしたが、調べたところちゃんと消化酵素によって食べたものを分解し、生きるための栄養素を摂りこむそうです。
そして、消化した後の食べかすは再び口から外に排出されます。


くらげなすただよへるときに」と、日本最古の歴史書・古事記にも記述があるクラゲですが、その祖先の明確な出現時期も、水中での暮らし方もまだまだ謎だらけだそうです。
太古の昔から姿をほとんど変えていないなんて、神秘の塊ですね。

私は、生まれ変わったらなりたいもののひとつにクラゲがありますが、それは「脳がない」からです。
時に考えすぎて頭がパンクしそうになるので、何も考えずゆらゆらと気ままに海を漂っている姿に憧れます。
だけど、脳もないのに、ちゃんとご飯を捕まえて、口まで運んで、胃で消化させてエネルギーを作って、、、見ていると何も考えてないようには見えなくて不思議です。
どうやら味覚もあるようですし、脳がなくても味覚があるってどういうことなのか???不思議すぎます。

そして、クラゲの体の構造を見ていると、私たちの体の消化機能の大元、命の大元もここにあるような気がして...生命の謎を紐解く鍵がそこにあるような気がして...興味津々です。


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