ヴィティーロ・トナート(ヴィトロ・トゥナート,ヴィテッロ・トンナート)Vitello Tonnato

Vitello Tonnato
北イタリアのピエモンテ州の郷土料理。
夏の名物料理。

『ドナウの旅人』(宮本輝著)に登場するお料理で、個人的に食べてみたくなったお料理。
本では、こんなふうに登場します。

コック長が、大きな銀の皿に盛った料理を運んで来た。麻沙子の好きな「ヴィティーロ・トナート」という料理であった。それは作るのに最低一昼夜はかかる料理で、その日に註文しても口にすることは出来なかった。仔牛こうしの肉を、幾種類もの香辛料で味付けした湯でゆでてから薄く切っておく。その残ったスープで、別にゆでておいたマグロの赤味をといてソースを作り、そのソースの中に仔牛の肉をひたして、冷たいところで一昼夜寝かせるのである。
『ドナウの旅人』上巻「雨の砦」より

宮本輝さんのインタビュー記事では、「こんなにおいしいものがこの世にあるのかと思いました。」と、取材旅行での思い出深い食べ物として紹介されていました。
これはますます食べたくなります。

Vitello Tonnato


インタビュー記事では、「スライスした子羊の肉をマグロのソースに三日間漬け込んで作る」とあります。とても手の込んだお料理なのですね。(子羊肉と書かれてますが、『ドナウの旅人』には仔牛肉と書かれているので、仔牛肉を使ったお料理なのでしょう。)

Wikipediaによると、“茹でるかローストした仔牛肉に、ツナとアンチョビから作ったソース(トンナート・ソース)を合わせた料理ということ。
トンナート・ソースは、“マヨネーズを加えて作るタイプとマヨネーズを使用せずに作るタイプがある”そう。マヨネーズを使うかは好みらしいです。


余談ですが、、、1800年代半ばごろまでツナはあまり美味しくない魚とみなされていた上に、新鮮なツナは消化に悪いとも考えられていて、ほとんどが油漬けや酢漬けとして販売されていたそう。
そのため、ツナそのものは料理に使われていなかったようです。
そして驚いたのが、ツナを最初に用いたのは“料理人”ではなく、ミラノ出身のアンジェロ・ドゥビーニという“お医者さん”だったということ!
彼が出版した料理本(『消化管の適切な管理に関するいくつかの規則を備えた、いくつかの珍しく、シンプルで、安価で消化しやすい料理』(すごい日本語ですね^^;))において初めてツナを用いた料理が紹介されたそう。

ツナを用いたドゥビーニのレシピはその後、19世紀末から20世紀に出版された様々な料理本で広まったそうです。
ヴィテッロ・トンナートのレシピは、1950年発行の雑誌『シルバースプーン』に2つ掲載されていてその1つはマヨネーズを用いたトンナートソースになっているとのこと。

Bicerinさんのnoteの記事によると、
「脂のない仔牛の肉と、少しコクのあるツナマヨのコンビネーションは、白ワインがぐびぐび進む危険な組み合わせ」と書かれていて、ますます食べてみたくなりました✨

いくつかこのお料理をいただけるレストランを見つけました!
また後日情報を追加します。

★参考
・『ピエモンテ州の郷土料理Vitello Tonnato(ヴィテッロ トンナート)』(イタリア旅行専門店「トゥッタ・イタリア」さんのホームページより)

・『トリノの郷土料理 ~仔牛のトンナートソース〜』(Bicerinさんのnoteより)