世界五分前仮説(Five-minute hypothesis)

イギリスの哲学者バートランド・ラッセル(1872年5月18日 - 1970年2月2日 )によって提唱された「世界は実は5分前に始まったのかもしれない」と仮定した思考実験。

ラッセルの文章

世界が五分前にそっくりそのままの形で、すべての非実在の過去を住民が「覚えていた」状態で突然出現した、という仮説に論理的不可能性はまったくない。異なる時間に生じた出来事間には、いかなる論理的必然的な結びつきもない。それゆえ、いま起こりつつあることや未来に起こるであろうことが、世界は五分前に始まったという仮説を反駁することはまったくできない。したがって、過去の知識と呼ばれている出来事は過去とは論理的に独立である。そうした知識は、たとえ過去が存在しなかったとしても、理論的にはいまこうであるのと同じであるような現在の内容へと完全に分析可能なのである— ラッセル "The Analysis of Mind" (1971) pp-159-160: 竹尾 『心の分析』 (1993)

これはあくまでも仮説であり、実際に「この世界は5分前に始まった」という根拠はない。
しかし、「この世界は5分前に始まったものではない」と証明することもできない。
そして、世界五分前仮説を証明することもできない。

それではなぜラッセルがこの仮説を提唱したのか?というと、
「記憶とは何か?」についての自身の論文を分かりやすくするための例えだったそうです。
ラッセルは、世界五分前仮説によって、「異なる時間によって起きる出来事間(過去と現在)には、論理的・必然的な結びつきはない」ことを説明したかったのです。

...難しいのでまた時間をとって調べてみたいと思います。